膝をついて

2004年4月15日
気圧が全く変わるように
山は越えたようす

連休前と、この季節の具合の悪さが手伝ってか
今週の利用者数は目標値を連日上回ってる。
外に居るよりも、安全なのだろうか。

スタッフのくたびれ具合に反比例して。
彼らが自力でそこにいる。
場を提供し続けられていることが、要。

今日出勤できなかったスタッフ
昨日までの荒れ模様が祟ったか
泣いてね
自分で泣いて
あなたのからだで
ゆっくり泣いてね

もう、一人二人くらいの穴埋めくらい、何とも思わなくなってる
というのは、本当はおかしいんだろう

パイを焼いた
小さくクロワッサン型に巻いて
レーズン、胡桃、チョコレイト
好きなものを巻いて

一緒につくった相棒
今日はすれ違わない
意外に不器用、笑って
オーブンに張りついて笑われ
奔放な形に焼きあがったパイ
美味しかった

南瓜を煮た
シナモンを入れ、好みの味にする

味が戻ってきた

生き延びてることが分かる

職場には、文字通り「生き延びてきた人」たちが集まり
身を寄せ合う
不思議なほど身体を切り刻み、死にかけ、殺しかけ
暴力が関係性の全てで
自分自身に対しても暴力で臨み
その向こうに、魂を密かに密かに隔離し隠し通し、護り通し
やっとここまで来た人たち

とても不器用に、やっかいに、激しく、無音の中に
あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、時に壊れ、時に麻痺し
あるいは、ぶつかることさえできずに
自分の存在を感知することさえできず
幽霊のように、見えない人には見えない存在になり
幽霊にしては、心身をこわばらせ
複雑に、何重にも自分を隠し護り

自分が存在するのかしないのかも
自分が人間なのか化け物なのかも
分からなくなる狂気と恐怖と憤怒を引っさげて

ある人たちからは、ひどく無様に、奇怪に、不可解に、恐れられ、忌み嫌われ、傷を受けつづけ
居場所を失いつづけ(あるいはそんなものは、もともと存在せず)
その目の、奥の奥のその深遠から世界を見据え
実は、世界の底の縁を支える役割を背負い
生き残ってきた人たち

その人たちが眠る寝息
その人たちが流す涙
その人たちが怒る声
その人たちが笑う声
そこまで来た時が、ひとつしあわせ
そこまで来た後が、新しい現実
安全やしあわせや楽しさを垣間見た後の苦痛
それまでの長い長い傷みがあらわになる


本当の喪失


そこを、越えていく生命力が蓮の花のよう

その人たちが見せる不屈
その人たちが見せる底のない愛情
深い 深い

本当に人間でありえているのはいったいどちらなのか

その人たちから、見据えられながら
ここに居つづけていると、
無駄な抵抗はできなくなる

身一つが残る

じたばたと、生き延び
じたばたと、ここに残っていることを
見据えられている

格好しかつけない「私」など
簡単に散り散り


膝をついて
神様に触れたい

まだ言葉だけで祈っている
まだ心身で祈っていない
傲慢な自分

この先は、身一つで生き残っていけるほど
甘くはない

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索