一頭と二人

2004年4月29日
少々がんばってからだを引き剥がし

ぎりぎりでバスに乗り込み
馬に会いに行く

何かが脱げないままに行っていたせいだろうな
今日の相棒ウェンディもかたい
耳を伏せていないのをいいことに
さっさと裏堀り(蹄の裏の手入れ)を始めたら
頭突きをくらい、ケツを噛まれた(笑)

一瞬ひるみ、直後にムッとして危うくケンカしそうになる

ごめんごめん、お前が悪いわけじゃなかった
ごめんごめん、いろいろ東京から持って来すぎた

裏掘りは後回しにして、ブラシに時間をかける
首から頭と顔面がかゆらしい
今度は鼻梁を押し付けてきた
そうか、仲直りか

ウェンディは走りたい方
走りたがりだがマイペースで、ゆっくりだけど安定してる

一月半ぶり
前回の課題、目線は上げやすくなった
上げやすくなると回転もしやすくなる
あとは、手綱の調整
鐙はもう少し引いていい

休憩時間、お天気よく、外で本を読む
すこし、ここのところ溜まっていた感覚を降ろせてきたか


馬場でかつて研究所で同期だった二人と会う
何年ぶりかに尋ねた店は、看板だけは変わっていたが
おばさんの顔も、あの美味しいドレッシングの味も同じだった

昔よく食べた物を注文し
3人それぞれ最近作っているものを持ち寄り
近況を伝え合い
時間差が失せ、数年前に戻っていくよう

5時間ほど、最近のその機関のトラブルの経緯と
先輩方の様子と状態
経営者側の様相と状態
それぞれ持っている情報をすり合わせ、起きていることを立体化し
時間の流れを加え

そうして見えてきたものは
あまり気持ちのいいものではない
人を生かさないシステムは、その中の人の首を真綿でじわじわと締め
じわじわと感覚を麻痺させて侵食していく

互いに互いの状態を確認しながら
3人で受け止めていく
怒りも、哀しさも

一人が、とても笑うのが上手い
これだけ厳しい時でも
笑うことができる
助かる

現状と、それぞれのスタンスを確認し
見えてきたものは、当分に、それぞれ、その人分の重さとなり返ってくる
これが必要だったんだろう

内容に反して、どうも一山越えた
重みのあるすっきり感

おつかれさまー
独り独りで一人じゃなかったね
気難しいと恐がられがちな馬と
「柵好き」と言われる暇さえあればすぐに寝てしまう子(馬)に会ってきた。噂は聞いていたけれど、鞍を載せた途端に本当に寝始めるのには笑った。

蹴られそうになりながら馬装をして
一回振り落とされそうになりながら乗った
気難しいという彼は、気難しいのは最初だけで、
レッスン中はずいぶん協力してくれた
さすが最年長馬
走り方にどっしり感がある

「柵好き」というあだ名の由来は、騎乗と下馬時は柵に噛み付いていないといられない子だから
何だか切なく思える癖
回転の時の手綱使いと扶助のこつがまだつかめていなくて苦労かけた

手入れは念入りに
きれいに
馬はこんなに大きな体のどこにも手も口も届かない
ブラシも蹄の手入れも怪我の手当ても
手入れは
人にだからできることをするのね

首にブラシをかけるとすぐに、首をぐんと寄せてくる
そう、ここがいいの。もう一度かけるね
最後に蹄に油を塗った後
前足に「しまき」を巻くのを手伝わせてもらった
古傷を守るための包帯なんだ
よし
彼の家(馬房)まで送る
またね

帰りに経由する池袋の夕方
人が多すぎる
入り乱れるものが多すぎる
気配と振動が多すぎる
息と体が詰まる、固まる
2時間前とギャップがありすぎる
早く息が出来るところまで行かなきゃ
地上に出たい
長い窒息

家に飛び込み、野菜を刻み始める
マーボ豆腐
大根、人参、胡瓜に生ハムとグリンピースを加えてサラダ
お土産にもらったタンカンを切る
呼吸が戻ってくる

ストレッチ
丹念に呼吸
思った以上に体が堅い
こうやって護ってる
ゆっくりからだを安心させる

あした
もう少し開いた護り方ができるよう
外界を見て、聴いて、対話をして
充分に闘えるよう

よし

2004年3月7日
天気はよかった。
風も黄砂状態ではなかったし、ゴーグルが必要になるほどじゃなかった。
予報を当てにしてはいけないと、常々思うのだが、頼ってしまう何とも感覚が「現代」な自分が密かに口惜しい。

一日4鞍というスケジュールは初めてだった。
3頭に世話になった。
4鞍で、しかも3頭かわるがわるというのは結構めまぐるしい。
くせのある子やヘソを曲げてる時の子とは、2鞍は欲しいな。

馬もリズムも変われど、体が乗り方を覚えていくのが、1周ごと、1鞍ごとに分かる。
たのしい。

休憩時間のおしゃべりもたのしい。色んな馬の癖と性格を伝え聞く。安い馬具の手に入れ方を聞く。馬乗りの楽しみ方はそれぞれだ。「馬」に関してえらく知識や情報のある人もあれば、「乗るのは半分にして残りはただ好きな馬に会いに来た」と、馬のためにリンゴを切り、ひたすら馬に見入っている人もいる。
こういうのを「シェア」と言うんじゃないか?

「全体によくできてる」
褒められちゃったよ。うれし。
「あとは脚の扶助をする時も目線を落とさないこと。」
おや、自分で思っていたことは挙がらなかった。
自分では
・軽速歩の時、目線をあげ、肩をやや後ろに引くこと
・手綱は今より短くていい
・回転時の開き手綱のタイミングと開き具合
だな

からだを特定の形に使っていくことは、学生を終えてから殆どして来ていない。子どもの頃、色んな体の動きをするのが楽しくて、カン蹴りやドッジボール、スキー、スケートetc.時間がもっとあったらいいのにと、いつまでも遊び続けたかった。

お仕事コミュニケーションだって、目に見えなかろーと身体活動のひとつじゃないか。具体的に見ていけば良いこと。
「待て」「もう一度」だ。諦めずに。
行けるってp(^^)q

往きのバスの中では山本夏彦氏「毒言独語」
こういう頑固さとユーモア(いや「洒落」だな)と筋の通り方がわたしは好きだ。
日本語がうつくしい。
「文化」と言えるものが命を持ってそこにあったことの証し。
「文化」が生きている身体と生命のある世界を前提にあるものなのだという話。

のべ3時間、息が切れるほど乗った後、気温の落ちた日暮れ、馬の手入れをする。

四肢は馬の命。一日付き合ってくれてありがとう。
球節(蹄のすぐ上の節)から蹄をきれいに念入りに洗い、オガクズが着いて皮膚の病気をしないようタオルで念入りに拭き、丁寧に馬体にブラシをかけ、水拭きし、蹄に油を塗る。
よし、「思い残すことなし」。

いいな、こういうの。
からだが軽い。

職場も変わってきてる。
納得のいく進め方を増やせてきている。
諦める必要はない。
だいじょうぶ。
馬には乗れた。
雨で騎乗中止の恐れがあるかと今週半ばから気になっていたが、
もっと恐いのは風なんだった。
クラブ付近は春の大風。
ただでさえそこらの畑の土が舞い上がり、黄砂か?と思うほど山も黄ばんでいるのに、馬場には土に加え飼葉や飼葉桶、ゼッケンやらが舞う。

一鞍目で隣の部班で2人が落馬した。
2人目がしばらく起き上がれず、騎乗中止を検討。
1人目も後からきいたら頭を蹴られてもいたらしい。
私はコンタクトの目にほこりが入りまくり、ゴーグルを買わなかったことを後悔・・した時には遅く、だーだー鼻水のように涙をたらしながらの騎乗だったので一も二もなく賛成。

パートナーはJOYという名前のやさしげな子(馬)。馬装の時からもう気が合いコミュニケーション取りやすかったものだから、そこはちょいと残念。
いずれまた会おう。

えらそうに書いているが、馬に「お試し」でなく乗り出したのはまだ昨年晩秋。正月休み以降は仕事が増えたのと職場以外の仕事に首を突っ込んだのと、ゼミの修了課題とで2ヶ月まるまる乗れなかった。

まず、東京から離れられるのがいい。

自分と違う体温と大きさと気配とリズムを持った生き物と一緒に何かやれる。しかもコミュニケーションと言うには人工的じゃないコンタクトが取れる感触がわたしにはしあわせ。

しあわせな気持ちを家に持ち帰れる。
茄子を買ってきて、残っていたピーマンと人参(本来は入れない。人参余り過ぎて葉が生えてたさ。)と合わせて鍋しぎにする。これが時々無性に食べたくなる。しかし冒険が過ぎて入れた柚子胡椒で辛い。愛嬌!
鮭も焼く。これは程よい。

おいしい。

明日も4鞍予約してある、が風が強いという予報。
一鞍でも乗れればよし。
また別の馬と会えればそれでよし。

往き帰りには、月曜からの仕事の段取りをメモる。

さっき
先週留学先の欧州に帰っていった「大切な人」に電話をする。
声を聴ければよし。
先回は大学のトイレで電話に出た。
今日は友人のところらしい。
「こっちは日本より春が来るのがゆっくりだよ」と、その人の友だちが母国語じゃない英語で言った。

また写真を送ろう。
またいくつかの曲を焼き付けて送ろう。
贈りたい曲がいっぱい。
少しずつ届けよう。

あと2曲、手に入れたい曲がある。

明日はゴーグルを買おう。

溜まったペットボトルを再生に出しに行ったら、月が「晧晧」としていた。
きれいだ。

天気はいいな。

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