心願の唄

2004年9月11日
火傷をした
仕事中で、お客さんの前だったので、そのまま仕事を続ける
意外と平気な顔をしていられるものなのね

親指の横っ腹の部分が茹で(?)られて白い
あとで相棒がラベンダーオイルが痕が残らずいいのだと塗ってくれる
握った保冷剤が溶けると途端に痛みで前頭葉がぐらぐらする
大した火傷ではないのに、こんなに痛むものなんだ
10歳のとき犬に肉を(どこの肉かは言わない。笑)食いちぎられそうになって以来、怪我らしい怪我はしたことがない
痛みには慣れていないのかもしれない

夜は祖母に会いに行く
保冷剤では持たないので、コンビニでロックアイスを買い、握りつづける

祖母が、心願(願掛け)の数え歌を歌ってくれる
全国の有名なお参りどころが10箇所謡われていて
全部謡えたら、願いが叶うという歌
母や叔母たちも始めて聞いた歌だと、驚いて、メモを取る
痴呆というのは、不思議
祖母は時間を遡るように、記憶を辿っていく
この1,2年、家族が初めて聞く話がぼろぼろ出てくる

気難しくて正義感も我も強い祖父が、彼の叔母の大きな製糸工場を飛び出し上京した頃に、その大叔母がキセルをふかしつつ乳呑児2人と胎児を抱えた祖母に「何とかやっていけるのか」とそっけなく尋ね
「これは少しずつ使え。子どものことは先が長い」と祖父には内密に大きな金を包んだらしい。

その時代、おんながおんなに伝えたもの

わたしは時々彼女の話を聴きに行く
祖母が逝くまで、ごく限られたその時間で、わたしは彼女の物語を自分のからだに入れていく

家に帰り、保冷剤をありったけ入れた袋に手を突っ込んで寝る

明日には痛みはひいているだろう

 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索