風と凧糸

2005年11月12日
朝から昼まで眠り、起きて腹を満たし
再度教授の書いたものに目を通し
風呂に入る

朝方仕上げた資料を2部プリントアウトして、ぎりぎりに家を出る

数ヶ月ぶりに再会した教授は
私がこの間思い浮かべていた、学会時の厳しい表情ではなく
「こんな顔だったっけ?」とやや拍子抜けする

私の申込書を手に、座るとすぐ「じゃ、さっそく」と言う
個人教授に関するガイダンスも何も無く、「とっとと事を始めましょう」か。
グループではお世話になってきたので、その時の調子で話し出す。
この教授は、殆ど目をつぶって聴く
検討事項のこれまでの経緯を時系列で話していく
ところどころで質問され、それに答える
途中、2,3の助言をする他はほとんど「うん」「ああ、そうですか」「なるほど」といった調子だ。

時間が押し迫ってきて、ごく最近の様子を伝えると、最後に、私の仕事上のスタンスについて、検討事項に対する理解を深める見方について非常に具体的かつ的確な助言を下さった。

この分野についての有名すぎるほど有名で、腐っていないか心配になるほど使い尽くされている用語の数々を、この教授は殆ど口にしない。
けれど、あのこと、そのことなのだということは、まだ知識の浅い私にもかろうじて理解できる。生ものの「ことば」としての感触が入りきっていない部分については、繰り返したずねる。

「理解されている」とこんなにも話が早い。
こちらも、瞬間瞬間、必要な言葉が出てくる。

次回のセッションのお約束を、来月はやめに設定し、開始時と同様、何一つ濁さず、余韻も残さず、この人は「去る」
うまく言葉にはならないが「飛ぶ鳥」か「風」の所作

・・「凧」にはちょうどいいか(笑)

風の勢いに舞って、こちらもさっくり会計を済ませ、礼を言い、外へ出る

道に濡れたプラタナスの葉がところどころに固まっている
こんな都心に、呼吸をしている者たちがいる
風が、あれやこれやを洗い流すように吹いている
少し小走りに家まで歩く
寄るところは無い

後で知ったが「木枯らし一番」だったそうな

文字通り「風」が入ったわけだ

憧れの教授の、独特の言葉と在りようの鋭いとも感じさせない切れ味が、久しぶりに気持ちをわくわくさせている

「凧」には凧糸が必要だが、教授は「糸」ではなくて「風」だったか

凧糸は、私自身であらねばならない、ということ?

糸はどこかで見つけられるものか?
糸を縒るところからが必要か?
蚕を飼うところからか?

・・どんな糸を使うかは、自分の納得のゆくようにということか

「詰め込まねば」と思えば苦しいが
「作る」と思えば興があるかもしれない

  

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